2019年9月11日水曜日

Wellingtonでの仕事

Kia Ora! どうもKaitoです。もう9月ですね。結構仕事が忙しかった為、時が過ぎるのがあっという間過ぎて驚きさえ覚えます。

さて、前回プライベート編を書くと言いましたが、忙しくしている内に1ヶ月経ってしまったので、Wellington編で区切って後日書こうと思います。
なので今回はWellingtonでの研修後半について書いていきます。



まず1つ目は、BMWの整備です。


僕たちがいるのはホンダディーラーですが、たまに他社の車両の仕事が入ってくる事があります。Shunもヒュンダイが来たと言ってましたね。
この時、僕が作業したのはワークメイトが乗っているBMWでした。中古で買ったらしく、整備もちゃんとされていなかったため、パーツ類を自分で揃えて工場に持ち込む形でした。
日本語表記を見つけました。ということはこれも日本からやってきた中古車という事ですね。
日本車以外も日本から持ってくるんですね。
…なんでマツダのクーラントなんでしょうか?

クーラント、ミッションオイル等を交換しましたが、僕が担当したのはスパークプラグ、ヘッドカバーガスケット、オイルフィルター、フューエルフィルターでした。
初めて搭載状態の直6エンジンの部品取り外しを行いましたが、直6特有のエンジン全長が長いためバルクヘッド方向、シリンダ番号5番、6番辺りになってくると体勢がきつくなってきたり、工具が入りにくくなってくるようになり少し辛かったです。直6エンジンは全長が長い分、横置きがしにくいため基本縦置きでマウントされますが、こういった難所?も出てくる訳です。

手前側から1番シリンダ、1番奥が6番シリンダ。
ホンダは直6エンジンを作っていないため貴重な経験となりました。
また、年式によって違うのかもしれませんが、フューエルフィルターの形式の違いも気になりました。ホンダのフューエルフィルターはフューエルポンプと一体型で燃料タンク上部に取り付けられていますが、このBMWの場合は車両下部、フューエルラインの途中にフィルターのみ組付けられる形式となっていました。
この缶みたいなのがフィルターです。
個人的にはこの形式の方が交換しやすくて良いと思いました。ホンダ車の場合、だいたい
はリヤシートを外して蓋取って…など行程が多いのですが、これはホイストで車を上げて銀色のホルダーを緩めれば取れますからね。ただ、これだけ小さいとフィルターとしての性能は頭打ちでしょうし、ホンダのように他の機構と一体にもできないので、性能的には良いとは言えないかもしれません。


次にS2000のクラッチ交換です。
いいデザインしてますよね...。
こう見るとエンジンがかなり後ろ、フロントミッド気味に搭載されているんですね。
マニュアル車はエンジンからの動力をトランスミッションに伝えるため、摩擦材(クラッチフェーシング)を貼り付けたクラッチディスクを用います。動力の断続はダイヤフラムスプリングを用い、クラッチペダルを踏むとスプリングが押し上げられ、クラッチがフライホイールから外れる仕組みとなっています。また、坂道発進や渋滞時等に「半クラッチ」と呼ばれる状態にして発進することも少なくありません。この半クラッチはクラッチを完全に切るのでは無く、少しだけ浮かせることでクラッチディスクを滑らせ、低い回転数のまま発進する事が出来ます。
このように常にフライホイールに張り付いている訳ではなく、時には擦れあったりする為、クラッチフェーシングは摩耗していきます。半クラの頻度が高ければ高いほど摩耗も早まります。また摩耗が進むと動力伝達が上手くできなくなり、回転数は高いのに速度が上がらないという状態にもなります。その為、定期的にクラッチを交換する必要があるのです。

取り外したギアボックスとプロペラシャフト。
まずはカプラー等を取り外し、ギアボックスを取り外します。その際、取り付けの事も考えてプロペラシャフトも取り外します。
中心部の切り欠きが入ったような板がダイヤフラムスプリングです。
するとクラッチ一式が姿を現しますクラッチカバーがフライホイールにボルト留めされているため、それらを緩めてアセンブリで取り外します。
取り外したクラッチ一式。
交換もアセンブリのまま行うので、クラッチディスクだけを取り外したり分解する必要はありません。
また、フライホイールも取り外し接触面を研磨します。理由としてはブレーキディスクと同じく接触面が不均等になる為だと思われます。
研磨した後のフライホイール。
フライホイールが研磨から帰ってきたら(Honda Cars Wellingtonではブレーキディスク、フライホイールの研磨を外部に任せています。)組付けて完了です。

お次は前回も書いたオートマチックトランスミッションの不具合です。
あのブログを書いた数日後、再び不具合(1速に入らなくなる)が発生し、ワークショップに帰ってきました。
再び原因を探り、電気系統やライン圧を調べましたが、相変わらず不具合は見当たりません。となってくると、前回分解しなかったギヤシャフト、クラッチに不具合がある事になります。
ATミッションの変速制御にはサンギヤ、プラネタリピニオン・プラネタリキャリア、インターナルギヤで構成されるプラネタリギヤを用いており、この3要素のうち一つを入力、余った2つのうちどちらかを固定、または出力にすることで動力を伝達します。
プラネタリギヤの図解。
出典:https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/0907/24/news115_2.html
自動車においては固定を行うものとしてワンウェイクラッチを用いています。エンジンの正回転の方向に回転するとインターナルギヤ等を固定し、その逆になると固定が外れフリーになります。

ワンウェイクラッチ。
一方向のみ動力を伝えられる構造としては、上記の写真のタイプだと楕円形のローラーが組み込まれており、固定方向に回転するとローラーが起き上がり、引っかかって固定の働きをします。逆方向になるとそれが外れてフリーになるという事です。
これが原因ではないかと考え、1速のワンウェイクラッチを取り外して確認した所、固定方向に指で強く力を入れるとクラッチごと回転してしまう事が確認できました。これではベアリングみたいなもんですね。この状態では3要素に必要な固定がされず、フリーな状態のままになってしまう為動力が伝達されないのでした。
ただ、これは組み込み状態では確認できませんでした。おそらく、組付けた状態だとトルクが掛かったりする関係で人の力では動かなかったのでしょう。しかし、走行時は更に大きな力が掛かりますから、空転してしまうということだと思われます。
新品のクラッチを取り付けた所、不具合は消えたため再びお客様へとお返しする事が出来ました。


最後はピストン交換です。
前回、ミスファイア解消のためシリンダヘッドを取り外した事を書きましたが、あのエンジンにはもう一つの問題がありました。それはオイルの消費が早いというもの。消費が早いという事は何処かから漏れているか、燃焼室で燃えてしまっているかの何方かです。漏れた形跡は無く、またヘッドからのオイル下がりの形跡もない為、ピストンを取り外して確認することにしました。すると…
3本あるリングの1番下がオイルリングです。
オイルリングの隙間にカーボンがびっしりと詰まっていました。オイルリングはシリンダに残った余分なオイルをかき落とす役割を持ちますが、ここまで詰まってしまうと張力を失い、オイルをかき落とす性能も無くなってしまっています。これがオイル上がりです。
ピストン全域にもカーボンがかなり堆積していた為、新品のピストンを入れる事になりました。

さて、新品のピストンが届き、組み込もうと中に入っていた説明書を見たのですが…

.......?
これ、意味分かりますか??文章が一切なく、イラストでの説明のみ。
どうやら「新品ピストンは品番が違う(古いのがRBJ‐1、新しいのがRBJ)けどそれを使ってね」という説明のようなんですが、理解するのに数分かかりました…。
左がRBJ、右がRBJ‐1.
オイルリング溝の幅が違いますね。


さて、こんな感じで振り返ってきましたが、Wellingtonでの勤務は先週金曜をもって終了しました。Northshoreとは打って変わって重整備が多く大変ではありましたが、エンジンほぼ全分解やATミッションOHなど貴重な経験をさせて頂きました。特にエンジン分解はそう頻繁にあるものでは無いそうです。これらの経験を今後に生かせるようにしていきたいです。
そして、昨日より最後のブランチであるEast Aucklandでの勤務を開始しました。2日働いてみての印象は....今までで一番忙しくなりそうです、、、。

では、今回はこの編で。最後まで読んでいただきありがとうございました!!

Time has come

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