2019年8月11日日曜日

別次元

どうもKaitoです。
もう8月ですね。こちらはかなり寒いのでそんな実感が全然沸いてきません。それにもう一つ、僕は鈴鹿8耐に去年まで12年連続くらい行っていたので尚更です。SNSでリアルタイムでレースを追いかけるのは少し虚しさを覚えました、、、、。

それは置いておいて、Wellingtonでの研修を開始して約1ヶ月が経過しました。今までのブランチとは作業のやり方や設備が違い、こちらのスタイルに合わせこむのが大変ですが、Northshoreとはまた違う作業を行うことができていい経験を積むことができています。
今回はこの1ヶ月で行った作業のいくつかを紹介しようと思います。

まず、オートマチックトランスミッションの不具合です。

勤務開始2日目にいきなりトランスミッションを降ろしました。。
普段の仕事はベテランのワークメイトと共にしているのですが、この車両は以前、トランスミッションに不具合を抱えその方がオーバーホールして直したのですが、その後不具合が再発したため再び入って来た、という物です。
不具合の内容としては、上り坂等でのシフトダウン時に1速に入らなくなるというもの。オートマチックトランスミッションは車両の速度やエンジン回転数に応じギヤの変速を油圧で制御し自動的に行うものですが、走行は可能、そして1速のみ入らなくなるという事は
油圧系統の問題が予想されます。
いきなり全分解です。
まず、原因を探るためミッションを全分解します。
そんなに大きな作業台が無い為地面に置きます。
ギヤやクラッチ、油圧ピストン等一つ一つを細かくチェックしましたが、ギヤには欠け等ダメージは見られず、クラッチ、ピストンも全て正確に作動していました。
ATFフィルタ。

洗うと中からプラスチック片が...。
途中、ATFフィルターを取り外し洗浄した所、中からプラスチックの欠片が出てきました。フィルタから出てきたという事は、油路内のパーツか何かが割れ、詰まっている可能性があります。しかし、その欠片らしきパーツは見つからず、油路にも詰まりは見られませんでした。となるとこれが原因とは考えられません。
その後、交換パーツが揃った所で組みなおし、再度ミッションを搭載してテストしましたが、症状は相変わらず現れます。もう一度降ろして確認です、、、。

しかし、もう一度降ろしてリヤカバーを外した所、ある事に気付きます。
右サイドカバーのフィードパイプを留めるクリップがちゃんとはまっていなかったのです。
これがそのクリップ。横の黒い物は砕けたOリング。
このクリップがちゃんとはまっていなかった事により大きな圧力が加わったためか、Oリングが砕けていました。そのため、十分にATFが供給されなくなっていたと考えられます。
Oリングを交換し、クリップをきっちりはめてテストした所、不具合は解消されました。

次はエンジンの不具合です。
これは現在進行中ではありますが、今分かっていることを紹介します。
この車両は日本から来たFIT Hybridで、第2シリンダーがミスファイア(失火)を起こしていました。
エンジンが良い燃焼をするには、
                 1,良い火花
                 2,良い圧縮
                 3,良い混合気
この3つの要素がすべて揃っている必要があります。一つでも欠けていればエンジンの調子は悪くなる、又は始動すらしません。
という事で、まずは火花の確認から行ったのですが、スパークプラグを確認した所とんでもない状態になっていました。
接地電極が欠けています。
スパークプラグは10万kmでの交換が推奨されますが、この車両は総走行距離が10万kmを超えており、また日本からの中古車という事もありプラグの交換がされていなかったと思われます。その結果、寿命を迎えたプラグの接地電極が折れてしまったと思われます。勿論これは交換ですが、このエンジンはツインプラグ(1シリンダ毎にプラグ2本)なので燃焼は可能です。
次に圧縮を測った所、他のシリンダが220psiなのに対し、第2シリンダのみ160psiと低い数値が検出されました。という事は何処かから圧縮が漏れているという事です。
ガスケットやプラグからとは考えにくいことから、第2シリンダを圧縮上死点にし、In、Exバルブどちらも閉じた状態にしたうえでプラグホールからエアを吹き込み、どちらのバルブから圧縮が逃げているか確認しました。
すると、マフラーから僅かにエアが来るのが確認されました。という事はExバルブの密閉が不十分となっているという事になります。

バルブの状態確認のため、シリンダヘッドを外します。
取り外したシリンダヘッドとシリンダブロック内部。
学校の実習機と違いカーボンがびっしりです。
そして原因と思われるExバルブを取り外すと、こんな状態になっていました。
右に切れ目の様な損傷が見られます。
そこのバルブシート部は盛り上がっていました。ここから圧縮が逃げていると思われます。
写真のように損傷が見られました。バルブにこの様な損傷が生じるのは、異物が入り込んで噛みこんだと考えられます。
........ここで一つあることが浮かびます。プラグの接地電極が折れていた事を.........。
恐らく、折れた接地電極がExバルブに噛んだ事でバルブシートにダメージを負い、圧縮が保てない状態となったと思われます。

3要素の内、混合気にあたるインジェクションは問題なかったため、圧縮が大きな問題となっていると思われます。今後の作業についてはまた追い追い書きます。

最後にブレーキの不具合です。

ある日入ってきた’17年式Civicですが、ブレーキディスクが奇妙な状態となっていました。
これは左フロントですが、全てのディスクがこの状態でした。
写真の通り、一部分だけがすり減り、それ以外の部分はザラザラになっていました。明らかにブレーキパッドが一部分しか当たっていない状態となっています。
ブレーキパッドはキャリパと共に動いてディスクに当たりますが、その摺動が上手くいっていない様です。そして摺動部を見てみると...。
Rusty....

Rear one was rusty too....
錆びてました。摺動部が錆びた事により、パッドの動きがほんの僅かになってしまっています。これではブレーキも本来の制動力を発揮できなくなり、危険です。
無論、パッドは交換、ディスクは研磨となりました。
Honda Cars Wellingtonには自前の研磨機が無い為、ブレーキ・クラッチの専門店に委託します。
この様に置いておくと取りに来てくれます。
こんな感じですね。他にもいろいろやりましたがこの辺にしておきます。
Service主体だったNorthshoreと比べて、勿論こちらでもServiceはやりますがそれ以外の大きな作業が増え、日々忙しくしています。大変な作業ばかりですがやりがいもあり、良い経験になっています。

少し長くなったので今回は仕事編とします。プライベート編はまた後日。
最後まで読んで頂きありがとうございました‼ ではまた。


Time has come

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